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原子時系とセシウム標準器の精度

This document discusses cesium primary frequency standards and their accuracy. It explains that time and frequency are fundamental physical quantities that can be determined most accurately. A primary time and frequency standard plays an important role in modern science and technology. Many physical and technological effects can shift the frequency of a standard and limit its accuracy and uncertainty, which must be carefully considered in evaluating the accuracy of a primary frequency standard. The basic principle of cesium standards is also summarized.

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原子時系とセシウム標準器の精度

This document discusses cesium primary frequency standards and their accuracy. It explains that time and frequency are fundamental physical quantities that can be determined most accurately. A primary time and frequency standard plays an important role in modern science and technology. Many physical and technological effects can shift the frequency of a standard and limit its accuracy and uncertainty, which must be carefully considered in evaluating the accuracy of a primary frequency standard. The basic principle of cesium standards is also summarized.

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V

ol.
45 N
os.
1/2 通信総合研究所季報 March/June 1 999
pp.27-35

解 説

4
. 原子時系と一次標準器
4
.1 セシウム一次周波数標準器と周波数確度
森川容雄*

4
. ATOMICTIMESCALEANDPRIMARYSTANDARD
4
.1 CESIUMPRIMARYFREQUENCYSTANDARD
ANDITSACCURACY
BY
TAKAOMORIKAWA
Timeandf
req
uen
cya
ret
hemostb
asi
cph
ysi
calq
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tit
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[キーワード] 光励起型セシウム周波数標準器,原子線型周波数標準器,周波数シフト,確度
O
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oun
tai
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enc
yst
and
ard
, Frequency
s
hif
t, Accuracy

7
70倍の継続時間である」
1
.はじめに
ここで定義されている周期は,当然後述するようなセシ
時間(あるいはその逆数である周波数)は,自然、現象 ウム原子の選移周波数をシフトさせる種々の摂動の影響
を記述する上で最も基本的な物理量であるばかりでなく, を除いた周期であり, S I秒は固有時である.
他の物理量に比べ非常に正確に決定できるため,今日の この秒を積分して得られる時系を国際原子時(TAD
科学技術の多くの分野で重要な役割を果たしている.実 と呼んでおり, 198
0年の秒の定義諮問委員会(CCDS)
際,長さや電圧の標準は今日では時間の標準を基に定義 で次のように定義されている ω.
されており,時間を抜きに語ることはできない. 「TAIは,回転するジオイド上で実現される S
Iの秒
このように,時間・周波数標準は現代の科学技術を支 を目盛の単位とした,地心座標系で定義される座標時の
える基盤となっているが,その高い精度や確度を十分に 目盛である」
生かした使い方をするためには時間・周波数標準分野の この定義では, TAIが座標時であり重力ポテンシャ
基本的な概念をいくつか整理しておく必要がある. ルに依存するため,地球上及び地球近傍での時聞を扱う
まず,国際単位系(S) の時間の単位である秒は,
I ときの重力ポテンシャルの基準をジオイド上に定めてい
19
67年の国際度量衡総会で次のように定義された (I). るのであるが,具体的な TAIの実現方法に関しては
「秒は,セシウム 1
33の原子の基底状態の二つの超微 19
70年の国際度量衡委員会で次のように定められた ω.
細準位の閣の選移に対応する放射の周期の 91
926
31 「国際原子時は,国際単位系における時間の単位であ
る秒の定義にしたがって,いくつかの機関で運転されて
*標準計測部 いる原子時計の指示値に基づいて国際報時局(現在の国

2
7
2
8 通信総合研究所季報

際度量衡局 BIPM
)が定める基準となる時刻の座標で , 1
り 980年代に達成された l×1
0-1
3の確度が限界となっ
ある」 ていた臼( しかし,その後の半導体レーザ技術の進展
TAIと密接に関連した時系に協定世界時 UTCがある. により,エネルギー選別に光ポンピングが使われるよう
これは,地球の自転から定義される時系である世界時 になり,最近では 1×1
0-
!4あるいはそれ以下の確度が報
UTと,これとは全く独立に定義される TAIとの聞の 告されるようになっている ω.さらに, レーザ冷却技術
整合性を保つために考案された時系である.もともと時 の確立により低速の原子を利用した原子泉型標準器の研
間は地球の自転により定義されていたが,原子時の一様 究開発も盛んに行われ,次世代の標準器として期待され
性あるいは安定度が UTのそれを大幅に上回るように ている ω.
なり, 1
967年に S
I秒が定義されたわけであるが,人間 このように,現在の時間周波数標準器の確度は非常に
の活動が地球上で行われている以上, UTもそれなりの 高くなっており,それだけに個々の周波数オフセット要
意味を持っており現在も引き続き使われている.問題は, 因を確実に克服していかなければ高確度を達成すること
地球の自転が一様でなく長期的にはだんだん遅くなる傾 は難しくなっている.本稿では,今後の標準器の研究の
向があるため UTと TAIとの差が大きくなることであ ために,セシウム周波数標準器の基本的な原理と,確度
る.このため,両者の差が 0
.9秒以内になるよう必要に 評価を行うときに考慮しなければならない主要な周波数
応じて TAIに 1秒挿入あるいは削除する操作(うるう シフト要因とその評価法について解説する.
秒調整)を行う.この TAIにうるう秒調整をした時系
2
. セシウム周波数標準器の原理と構造
が UTCであり,これは 1秒の長さは TAIの 1秒と同
じであり, TAIと整数秒だけ異なるが,時刻の読みは 2
.1 原理
ほぼ UTに等しいという時系である. セシウム周波数標準器の原理については既にいくつか
実際の TAIあるいは UTCの発生は,各国の時間・ の優れた解説があり(9,10に詳細はそちらを参照してもら
周波数標準機関が維持する原子時計を定常的に GPSの うものとし,ここでは概要について述べる.前節で述べ
信号等を仲介に相互比較し,その結果を BIPMに集約 たように周波数あるいは秒はセシウム 1
33の原子の基底
, BIPMが一定のアルゴリズムで各時計の重みづけ
し 状態の二つの超微細準位閣の遷移で定義されている.こ
平均を行って定めている.各国の標準機関が維持する原 の秒の定義に用いられる遷移周波数を ω。とする.実際
子時計の大半はいわゆる商用のセシウム原子時計であり, のセシウム周波数標準器では,この定義どおりの周波数
その l秒の長さあるいは周波数は様々な物理的要因によ を実現するために,外部から ω。にほぼ等しい周波数 ω
り定義の値からオフセットしている.このため,様々な のマイクロ波をセシウム原子に照射し遷移を起こさせる.
物理的要因の影響を正確に測定し,オフセット量を正確 ωと ω。が等しいとき遷移確率は最大になる.このこと
に評価すること,すなわち確度評価を行う必要がある. を利用して, ωを選移確率が最大になるように制御し,
この機能を備え他の標準器から独立に定義どおりの時間 ωを ω。に同期させ,これを標準周波数として出力する.
あるいは周波数を発生することができる標準器が一次標 第 1図はセシウム原子の基底状態のエネルギー構造図
準器である ω. したがって,定義どおりの正確な TAI である.セシウム原子のエネルギー状態は磁場が Oのと
あるいは UTCを実現するためには一次時間・周波数標 きには縮退しているため,この縮退を解くため C磁場
準器が不可欠であり,主要標準機関では,この一次標準
・Ru‘,a

器の研究開発を行っている.
44E

セシウム周波数標準器の研究開発の歴史は 1
950年代
にまで遡ることができる. 1
952年に米国の NBS (現
E
a

NIST
)で Cs原子の遷移スペクトルが観測された ω.こ 、

~

の当時に既に現在のラムゼー共振法が採用されている. て
ム 0
.5
1
955年には英国の NPLで実用的なセシウム標準器が開
~ 0
発されベ実際に 2次標準器の校正に使用された.また, =
ミー0.5
当時の暦表時との比較が行われ,この成果は 1 9
67年の 時唱
H I

国際度量衡総会の秒の定義に反映された. N BS, NPL -


1.5
に続いてカナダ, ドイツ,スイス,当時のソ連,日本, -
2
中国等各国でセシウム標準器の開発が盛んに行われるよ -
2.5
うになった.この頃のセシウム標準器ではエネルギー選 0 0
.5 1 1
.5 2 2
.5
択に選別用磁石を使っていたため,原子ビームの利用効 磁束密度
率が良くないことや後述する隣接選移線の影響などもあ 第 1図 Cs原子のエネルギー図
V
ol.
45 N
os.1/2 March/June 1999 2
9

と呼ばれる静磁場を加える.第 1図の横軸はこの C磁 0
.30
場の磁東密度の値である.縮退が解けた状態では,第 2
図に示すように,全部で 7本の遷移が得られるが,実際
に周波数の基準として利用する選移はクロック遷移と呼
ばれる F=4,mF=OとF=3,mF=Oの間の選移である. つ

クロック遷移は磁場の 2乗に依存し,加える静磁場が十 島
r
n
分小さいときは磁場の依存性が他の選移に比べ小さいた ~ 0
.20
め,周波数の基準として利用される. 3

1
1
.
l

実際の標準器では遷移線の幅を狭くし,周波数分解能 E

を向上させるため,セシウム原子にマイクロ波を T秒
間だけ時間的に離して 2回照射する,いわゆるラムゼ一
分光法(II) を使用する.マイクロ波と原子はそれぞれ τ
秒間だけ相互作用するとすると,遷移確率 P
2()は次
τ 0
.10
-
100 0 1
00
式で表される. R
ela
tiv
eFr
equ
eny但 z
c )

4b2 ・ ? 1 1 1 第 3図 ラムゼーパターンの測定例
P?( τ)= τγsin•-Qτ { cos-Qτcos一 WoT + φ )
, Q' 2 2 2υ
(
2)式から明らかなように,ラムゼー共振線幅は Tが長

一.
.
.
.ー
.
:
..
!
l
.
..
s
zn1Q
τs.
i
n一1WoT+φ)

'?
.
.
・ ・
.
.
..
.
・ .
・(
1.1
) H H
いほど狭くなる. τおよび Tは標準器の構造のほかに原
Q 2 2 v

.
・ ・・・
Q2= Q02+b2 .
.
..
.
・ ・ −

….
..
・ ・ −
−…

H(1.2
H) H H H
子の速度にも依存するため,原子の速度分布を考慮する

Q。ω一W o ・・・..
.
.
.・ ・

H−
……
...
・ ・−−

H.
..
・ .・・
(l
.3) H H H
必要がある.実際の標準器では,ラムゼー共振器通過後
b= μBB/h ・ ・
.
..
.
.
・ ・・・ .
.
.
..
・ ・
H −−

..
.・ ・・・
CL4) H H H H H
の原子ビーム強度 Iを測定することにより選移確率を求
める.
ただし, Bはマイクロ波の磁束密度, h はボーア磁子,
I=!
0Sf(
τ)(τ)dτ

ゅは l回目と 2回目の相互作用の時のマイクロ波の位相
差である.なお, (
1)式の表現は文献( 9
)にしたがってお =
士山sin2b τ
[l+cos(Q0T+ゆ
)] dr ・
(3
り,文献 (
11)
の(2)式とは係数が一部異なるが本質的に
1
同じ式である.ラムゼー共振の中心周波数付近,すなわ ただし, fτ
()は相互作用時間 τの分布関数,んは原子
| ω一ω。|のときには( 1
ち b》 .1)式は簡単になり次式 ビームの強度振幅である.単一速度の原子ビームでは
で表される. b =π
τ /2のときに Iは最大になるが, ビームの速度分
布がマックスウェル・ボルツマン分布の時には
前) =+
sin
2bτ山 τ
b=1
.88のときに Iは最大になる.第 3図は Iの測定
例であり,第 2図のクロック遷移の中心部のラムゼー・
ノfターンと呼ばれる非常に鋭い共振曲線を拡大したもの

Ramsey-RabiSpectrum である. Iは ω = ω。で最大になる.換言すれば, Iが最


0
.30 大になるよう ωを制御すれば, ωを ω。に一致させるこ
とができる.以上が,セシウム周波数標準器の基本原理
であるが,現在,研究開発が行われているセシウム一次
周波数標準器には,光励起型周波数標準器と原子泉型周

古 0
.20 波数標準器の二つがある.


2.
2 光励起型周波数標準器の構造
~



t 第 4図は前者の構造図である.真空容器内に設置され
たセシウム・オーブンを加熱し,セシウム原子ビームを
発生させる. この状態では原子は熱平衡状態にあり
0
.10
F=4と F=3準位の分布数はほとんど等しく, このま
までは,マイクロ波と相互作用させても得られる信号は
・ 2
000
00 1
0
・00
00 0 1
000
00 2
000
00 非常に小さい.このため,準位聞の分布数差を作り出し,
R
ela
tiv
eFr
equ
enc
y(H
z) 遷移の起こりやすい非平衡状態にしたうえで遷移周波数
第 2図 セシウム原子の遷移スベクトル 近くのマイクロ波と相互作用させる必要がある.光励起
3
0 通信総合研究所季報

C
s源;

ー &コイル
励起光 検 出光
共振器
第 4図光励起型 Cs標準器の構造図

型標準器の前の世代の標準器では準位選別用磁石の不均
一磁場の力により原子の軌道を 曲げ,必要な準位の原子
を選択し準位聞の分布数差を作り出していたが,この
光検出器
方法では原子の利用効率が悪く安定度が十分でないこと,
また後述するように隣接選移シフトが大きい等の問題点
があったその後半導体レ ーザ技術の進歩により安定な
半導体 レーザが利用できるようになったため,半導体レ ー
第 5図原子泉型 Cs標準器の椛造図
ザ光による光ポンピング効果を利用して効率的にセシウ
ム原子を F=4あるいは F=3準位に集めることができ 来はラムゼ ー共振器長を長くして Tを大きくしていた
るようになった.このようにして,分布数差の生じた原 が,常識的な標準器の大きさでは 3
50K程度の温度の原
子ビ ームはそのまま直進し,ラムゼー共振器と呼ばれる 子ビ ームを使う限り Tは lOmsが限界である .一方,
U字型のマイクロ波共振器を通過するときに,マイク 最近のレ ーザ冷却技術の発展に伴い ,中性原子を数 μK
ロ波と相互作用して遷移する . ラムゼ ー共振器の両腕の 以下にまで冷却することができるようになり,低速の原
聞の空間はドリフト領域と呼ばれ,この領域はマイクロ 子ビ ームが得られるようになった.この技術を応用する
波の存在しない自由空間であり,原子は自由振動しなが ことで Tを l
s程度にまで長くすることが出来るように
ら飛行する . このドリフト空間の長さがドリフト時間 T なり,ラムゼ一線幅を飛躍的に狭くすることが可能になっ
を決める .前述のように,この Tが長いほど,ラムゼー た.こ のような低速の原子ビ ームを利用した Cs標準器
共鳴線幅は狭くなり ,高確度を達成する上で有利となる として最近注目されているものが原子泉型標準器であり,
ため,一次周波数標準器ではラムゼ ー共振器の長さを l その構造を第 5図に示す.
m以上にするのが普通である . ラムゼ ー共振器を通過し まず, Cs原子は図の下部の原子 トラップ部でレ ーザ
た原子ビ ームに再び半導体レーザ光を当てると,原子は 光により数 μK程度にまで冷却される.次に,原子はや
基底状態から励起され,再び基底状態に戻るときに蛍光 はりレ ーザ光の力により垂直上方に打ち上げられ,マイ
を発する.この蛍光強度から原子が遷移した割合,すな クロ波共振器を通過し,マイクロ波と相互作用する .原
わち Iを測定することが出来る . 子はそのまま弾道飛行を続けたのち ,重力の力により落
2
.1節で述べたように原子の縮退を解くために C磁場 下しはじめ,再度マイクロ波共振器を通過しマイクロ波
を加えるが, flmF=Qの遷移を起こさせるためには C と 2回目の相互作用をし,ラムゼー遷移を起こす.さら
磁場とマイクロ波の磁束密度の向きは平行であることが にマイクロ波共振器を通過して落下してきた原子の蛍光
必要である.このため, C磁場コイルの構造はマイクロ を観測することによりラムゼー遷移確率を求め,この情
波共振器の構造に依存し ,マイクロ波の磁束密度がビ ー R
幸 から vcxoを ω =ω。にな るように借リ街lしている.
ム紬に平行の時はソレノイドコイルが,また直角の時に このように,原子泉型標準器でもラムゼ ー遷移を利用
はへルムホルツコイルが使用される. しており基本原理は光励起型標準器と同じであるが,冷
実際の周波数標準器では, ω を ω。に一致させるため 却された原子を利用していること,重力を利用して単一
に外部から加えるマイクロ波信号を周波数変調し,得ら の共振器を 2回通過させていることに特徴がある.前者
れる Iを同期検波して, ω一ω。の情報を取り出し,これ の特徴から Tを約 l
s程度と非常に長くとれ周波数分解
を電圧制御型水晶発振器(VCXO)にフィ ー ドパック 能が格段に向上している.また,後者の特長から,後述
しω =ω。になるように制御している . するように,従来の Cs標準器の主な確度制限要因の一
2.
3 原子泉型周波数標準器の構造 つであった共振器位相差シフ トが原理的に発生 しないと
前述のように, Tが長いほどラムゼ ー共鳴線 11菌は狭く いう非常に優れた利点がある.
なり ,高確度を達成する上で有利となる .こ のため,従
V
ol.
45N
os.1/2 M
arc
h/J
une1
999 3
1

3
. 周波数シフト要因と確度評価法 (WD 一ω。)/ω。= -v2/2c2 .
.
.
.・ ・
H−…
..
..
・ ・
.
.
. ・6
・ (
H ) H

1節で述べたように,一次周波数標準器が実現する周 ただし, ω。は静止状態


W vはシフトした遷移角周波数,
波数は様々な物理的あるいは工学的要因により定義の値 の原子の選移角周波数である.例えば,約 250m/sで運
からシフトする.このため,一次周波数標準器が実現す 動しているセシウム原子の選移周波数は 7×1
0-1
3だけシ
る周波数の値がどれだけ定義と一致しているかを示すパ フトするため,静止状態の原子と比較する際には原子の
ラメータである確度(a
ccu
rac
y)<
2
iが最も重要な意味を 速度を 0.1
%の精度で測定する必要がある.一方,原子
持つ.このため,周波数をシフトさせる個々の要因につ 泉標準器のように原子速度が lm/s程度の場合はこのシ
いてその影響度を評価することが不可欠であり,この作 フトは 5
.6×10
-1
sになり無視できる.
業を確度評価と呼んでいる.実際の確度評価では,周波 このシフトは原子速度に依存するので,速度分布を考
数をシフトさせる物理的パラメータの値,例えば静磁場 慮しなければならない. したがって,( 3
)式は次式のよ
強度を正確に測定することになるが,この測定の信頼限 うになる.
界を不確かさ(un
cer
tai
nty
)<2
i と呼んでおり,確度と
ともに併記するのが普通である. I=すff(r)sin2bτ[l+cos{w一w0Cl-v2/2c2)T]dτ
以下では主な周波数シフト要因とその評価法について .
..
..
..
..
.・
・・
・・
・・
(7)
述べる.
3
.1 相対論的シフト ただし,ゅは無視している. 2次ドップラ効果によって
3
.1.1 重力ポテンシャル・シフト(叩,1
3
) シフ卜した周波数 W vは Iを最大にする周波数であり,
周波数標準器あるいは時計の周波数は時計が置かれて a
1/θw= 0から求めることができ,
いる場所の重力ポテンシャルに依存することはよく知ら
τ)s
ff( inbτ
2 d
τ
れており,二つの異なる場所におかれた場合,次式で示 =

竺E二竺2 .
.
・ ・
H(8)



される重力シフトと呼ばれる周波数シフトが時計に生じ

. 上式は,共鳴周波数が原子の速度分布 fτ
()とマイクロ
波振幅 bに依存していることを示しており,確度評価
ν
(z一ν
1)/ν
1= (U2-U1)/c2・・・ ・・・・
−−

H.
.. (4
・ ・


H ) H H

では fτ
()と bを正確に評価する必要がある.実際の標
ただし, cは光速 U
1, U2は各地点の重力ポテンシャル 準器ではラムゼーパターンの中心を求めるためにマイク
であり, CU2-U1)/c2《 1を仮定した. ロ波を変調しているため,この変調による影響も考慮す
一方, 1節で述べたように,重力ポテンシャルの原点 る必要があるが,ここでは省略する.
はジオイド面上にとることが定められているので,( 4
) 実際の fτ
()と bの評価法についてはいくつかの方法
式はジオイド面近傍では次式のように近似することがで が提案されており,その詳細は文献を参照されたい
きる. が0
4
,1
5
,1
6に現在この 2次ドップラシフトの不確かさは 1
×1
0-
15以下に達している(7).
ν
(2一ν
1)/ν
1= g(
ゆ)( h2-h1)/c2・
・ ・
.
..
.
. ( 51
・ ・

・ ) H H

3.
2 遷移周波数のシフト
g(

) =(9.780+0.052sinヤ
) (m/s2) …………(5
-2)
実際の周波数標準器内ではセシウム原子は自由空間内
ただし, htは i地点の海抜高度,ゅは緯度, g(
ゆ)は遠 に存在するわけではなく,様々な電磁場に曝されている.
心力も含んだ重力加速度である.時計の周波数は高さが 実際, 2
.1節で述べたように標準器内には原子の縮退を
高くなると高くなる.周波数変化の割合は lk m当たり 解くための静磁場が加えられる.静電場も存在するかも
1
.09×1
0-
13であり, 1×1
015の不確かさを得るためには, 知れない.さらに,周囲からの熱轄射には広帯域の電磁
標準器を設置する場所の高度を lOmの不確かさで求め 場がふくまれており,これもシフトを引き起こす.
ることが必要である. 3
.2.1 2次ゼーマン効果伺}
3
.1
.2 2次ドップラ効果ω 第 1図に示したように Cs原子のエネルギーは磁場に
電磁波を吸収したり放出したりしている原子の共鳴周 依存するため,その選移周波数は原子の縮退を解くため
波数は,ごく僅かではあるが, (
v/c
)2に比例してシフ に加えられる C磁場の大きさに強く依存する.このた
トしている.ただし, uは観測者に固定された基準座標 , C磁場の値を正確に評価することが必要である.ク

系に対する原子の速度で, cは光速である.この周波数 ロック遷移周波数 ν。は次式で表される.
オフセットは特殊相対論の時間が延びる効果と直接関連
D
.
1ノz=ν
。−ν
α =4
27.
45×1
08B
02 …
..
.・ ・
.
..
.
. .(
・ ・
. 9
)
H H

している.
ただし, B
oは C磁場の磁束密度で単位はテスラである.
3
2 通信総合研究所季報

νCs は B0= 0の時のクロック遷移周波数であり,ムν


zを フトよりさらに小さく無視できる.
2次ゼーマンシフトと呼んでいる . B。は後述するよう 3
.3 相互作用領域とドリフト領域で選移周波数が異
に隣接遷移の影響による周波数シフトを小さくするため, なることによるシフト
ある程度大きくとる必要があり,光励起型標準器では通 ここまでの議論では相互作用領域とドリフト領域では
νz
常 6μT程度に設定する. このため, A l
νCs は 1
.7× 原子の遷移周波数は等しいと仮定してきた. しかし,実
1
041と大きなシフト量になる.このため,確度評価にお 際の標準器では,いくつかの原因によりこの条件は満足
いて 1
0-
15の不確かさを得るためには, l
:
l.
B。/B。は2
.9× されない.これらの原因の主なものは C磁場不均一性,
1
0 6以下でなければならない.一方,原子泉型標準器で マイクロ波信号に含まれるスプリアス成分などである.
は Tが非常に長いため,ラムゼ一選移線幅のみならず いま,相互作用領域 1および相互作用領域 2における
ラビペデストラルも非常に狭くなるため,隣接遷移の影 原子の遷移周波数を ω’ O• W 九とすると,単一速度原子

響が大幅に小さくなる.このため C磁場も 0 .l
μ T程度 の遷移確率は次式のようになる ω.
νz
と小さく設定することができ, A l
νCs は 4
.6×1
0-
14と
2九
(τ)= s in2b(1
r +cosQ0T)
小さくなり, l
:
l.
B。 も 1%程度の精度で求めればよく
/B。
一[
( Q’ 0)2
+(Q”)2
。 JIb
2
大幅に条件が緩和される.
(I-cosdr-1/2・ τs
b in
bτ)cosdτ
実際の B
oの測定法や磁界の一様性等に関する詳しい
一(Q’ 。 ”)(
+ Q。 1-cosbτ)sinbτ
sinQ0T
議論は他で詳述するのでそちらを参考にされたい(げ
-[Q ’ 。
OQ”/b2(1-cosbτ)2
3
.2
.2 シユ夕 jレク.シフト
{(Q’)
。 2十 (Q”
)2
。 }/
2b
2・
ある電場中におかれた原子のエネルギーはシフトする
(sindτ− bτc
osbτ)sin
bτ]cosQ0T. .
・ ・ −−
……(14-1
) H

ことはシュタルク効果としてよく知られている.このシ
ただし, Q。 = ω一ω。 …..
.・ ・ .
..
.
.・ ・
H.
..
.
.・ ・ −−
……0
H 4-2
) H

フト量は Cs原子の場合次式で表される ω.
Q’ 。= ω一ω’ 0・・・
H .
..
..
・ ・
H ..
.
..
・ ・ .
.
.
H.
.
・ ・ ・
・(1
4・3
H) H

Q”。= ω一ω” 0・..


..
..
.
.・ ・..
.
..
・ ・ .
.
.
H.
.
・ ・ ・
・(1
4・4
H) H

竺互二竺込=一 2
.5×1
0-2
0E2…
..
..
.・ ・
.
.
.・ ・
.
.
. (1
・ ・ 0
) H H H

丘>c
s
ωはマイクロ波の周波数, ω。はドリフト空間の遷移周
ただし, W Eはシュタルク・シフトした遷移周波数で, 波数であり,位相差ゅは省略した.上式の右辺第 3項
電界強度 Eは V/mで表されている.実際の標準器では は Q。の奇関数であり, P
2(τ
)は歪み, もはや Q。
=O
相互作用領域, ドリフト領域ともに磁気シールドでシー で最大にはならず,次式で表される周波数 ω で最大に
ルドされており,このシールドは外部電場に対しでもシー なる.
ルド効果を有する.さらに, C電流を流すための電圧は
w-w0

f「ω’
− wo 'w
。 コ
−w0Itan(br/2)
ω。 一
Ll 一 一
。J 一
非常に小さい.その結果, lOOV/m以上の DCあるいは
b
τ W0 . W
低周波の電場が原子に加わるとは考えられない.したがっ
(1
… 5
)
, DCシュタルク・シフトは

ただし, L はドリフト空間の長さ, tは相互作用領域の
lw,,一ω I
L ニ比ム< 2
.5×1
0 16 ・
・ ・・
−…
..
.・ ・
.
..
.
・ ・
.
..(
11)

ムニ 一同 H H H H
長さである.
Wes
3
.3
.1 不均一磁場シフト
これは,あきらかに無視できるシフトである. 磁場が一様でないときには,磁束密度の自乗平均値は
一方,シールドを絶対温度 Tの黒体と考えると,シー 相互作用領域とドリフト空間では等しくない.この結果,
ルド内の黒体轄射の電界エネルギーは次式で表される. (
4,0)特( 3
,0)選移に次式で表されるような周波数シ
フトが加わることになる.
<E2(t)>1
12=8
31.
9(T
/30
0)2 ・
・ ・
−−
….
.. ・(
・ ・
H − 1
2) H

したがって,黒体轄射による ACシュタルク・シフトは

νv
o"' 427 × 108£/L [否?+否~- 2否;°?J
=
'
i

・・(
16)
2互二竺~
白l
cs
= -
1.7×1
0一1
¥T/
300
)4・
….
..
.・ ・−…( 1
3) H
7
ただし,百 ,否ヲ吉,否 は,それぞれ第 l番目 J
2
と第 2番目の相互作用領域およびドリフト空間の磁束密
最近の一次標準器のように 1
0-
14∼1
015台の確度評価の 度の自乗平均値である. ν。はドリフト空間の遷移周波
不確かさを問題にするときには,このシフトは無視でき 数である.このシフトに関しては本特集号の他で詳述し
ない. ているので参照されたい (17).
黒体轄射の磁界エネルギーによる ACゼーマン・シフ 3
.3
.2 マイクロ波不要スペクトルによるシフト (18)
トも考えられるが, これは 1
0-
11の ACシュタルク・シ 実際の標準器のマイクロ波スペクトルには,周波数ま
V
ol.
45N
os.1/2 M
arc
h/J
une 1
999 3
3

たは位相変調により生じるサイドバンドの他に,周波数 ラムゼー共振器の左右のアームの電気長には非常に厳し
合成・逓倍過程や外部環境条件の変動等から生じるスプ い対称性が要求される.
リアス成分が含まれているのが普通である.特に,遷移 実際の確度評価ではゆを直接高精度で測定すること
周波数の近傍のスプリアス成分は無視できない周波数シ は難しいため, ビーム反転法によりゅを評価する.す
フトを引き起こす可能性がある. なわち,原子ビームの向きを反転させることにより,ゅ
いま,マイクロ波キャリアの近傍に周波数 ω’,振幅 の符号も反転するため, ビーム反転の前後で'

(τ,
) bが
b
iのスプリアス成分が存在する場合を考える.この時 一定であれば,両者の周波数差を測定することで (19)

P
2()を最大にする周波数 w
τ rは次式で表される (9). の右辺の値を評価することができる. ビーム反転法で
1
0 15 台の不確かさで確度評価を行うためには,標準器
ムW.-
一一£「ム2
1 および測定に使用する基準周波数源には当然 1
0 15以上の
L lbJ
I •

fb
τ2(τ
! s
)in
bτc
os −
b目的(ω。
u
ω’ τ
)Td
…(17)
優れた周波数安定度が必要になる.実際,光励起型標準
fτ2
(τ
! )s
in2
bτd
τ 器では l×10-15の安定度を達成するためには 5∼ 6日間
の平均化時聞が必要になる. しかも,この間他の周波数
単一速度原子の場合には,上式は単純な形になり シフト量の変動をやはり 1
0-
1s以下にしなければならない
という非常に厳しい条件が必要である.このため,共振
1(b
.12
ω =一|ニム lbτ
c
TlbJ
ot
brs
in(
w−
。ω’
)T
"
.
.
・ ・

・ (18)
H 器位相差シフトは光励起型標準器の確度を制限する主な
要因のーっとなっており,現在確度評価結果が報告され
通常,スプリアス成分はキャリアの上下に生じ,上下の ている N
IST-
7でも共振器位相差シフ卜の確度評価の不
成分が完全に対称であれば互いに打ち消しあってシフト 確かさは 4×10 15である m
.
は生じないが,実際には上下のスプリアス成分が非対称 一方,原子泉型標準器では,光励起型標準器と異なり,
であるため, 0にはならない.このため,マイクロ波合 原子は全く同ーの共振器を 2度通過するため,原理的に
成系には高いスペクトル純度が要求される. この共振器位相差シフトは発生しないという非常に大き
一例として, L=lm, £=lcm,原子の最確速度を な利点がある.
250m/sとするとスプリアス成分によるシフトを l× 3
.4.2 共振器分布位相差シフト(9,19)
10-15以下にするためには, 125Hzにおけるスプリアス 共振器位相差シフトはビーム反転法により評価すると
成分はキャリアに対し 65dB以下であることが要求され 述べたが,これはビーム反転の前後で φは符号を変え

. るだけで絶対値は変化しないことを仮定していた. しか
3
.4 共振器関連シフト し,実際には共振器内の位相は空間的に一様ではない.
3
.4.1 共振器位相差シフト(9,19,20) このため, ビーム反転の前後でビームの軌道が異なると,
Cs標準器のマイクロ波共振器内には進行波と反射波 ゅの絶対値は変化することになり, ビーム反転法の測定
により定在波が存在している.共振器が無損失であれば 誤差になる.この誤差による周波数シフトを共振器分布
ある点の進行波と反射波の振幅は短絡端からの距離に関 位相差シフトと呼んでいる.
係なく等しく,共振器内の定在波の位相は空間的に一様 したがって,ビーム反転の前後でビームの軌道を正確
である. しかし,実際には共振器を構成する材質の導電 に一致させることが要求されるが,共振器分布位相差シ
率が有限であるため進行波あるいは反射波の振幅は伝搬 フトを 10-15以下にすることは非常に困難である.このた
するにしたがって減衰することになる.このため,共振 め,位相分布の小さい共振器構造が必要になり,ラムゼー
器内の定在波の位相は一様ではなく分布することになる. 共振器の両端のショートをリング状の構造に変えた構造
したがって,ラムゼー共振器の左右のアームの電気長が の共振器が考案されている(21). このリング共振器を使用
異なると,左右の相互作用領域内のマイクロ波の位相は して N
IST
-7では共振器分布位相差シフトを 1×10-15以
異なり(3
)式のゆは Oではなくなる.このとき Iは次式 下に抑えている (7). また,原子泉型標準器では TEOll
で表される角周波数 ω
φ で最大になり,周波数シフトが モードの円筒共振器が使用されるが,この位相分布も正
生じる. 確に計算されており(22),この影響はほぼ無視できる.
3
.4
.3 共振器プリングω
fTf(
τ)s
in2bτd
τ
ゅー ω =
。 ゆ
fT
γ(τ)sin2bτ
d
τ

.
..
・ ・
−−…

H… (19) これまでの議論ではマイクロ波の振幅 bは周波数に
対し一定であると仮定していた.実際には共振器内のマ
このように,この周波数シフトは fτ
(,
) bに依存する. イクロ波強度は次式のように周波数に依存する.
一例としてゆ= O
.lm
rad
, v=250m/s, L=l.5mのと
きの共振器位相差シフトは 3×1 0勺こなる. このため,
3
4 通信総合研究所季報

度に設定できる.
b(w)=b
0[1+Ti(w一W
c)2
]山....・ ・
.
..
. .(
・ ・
. 2
0-1
)H H

Tc=2Qcfwc ・
・ ・・
.
..
.
・ ・
.
.
H.
.
・ ・
….
.
H.
・ ・
.
.
. (2
・ ・
H 0
-
H2) H H 4
.ま と め

ただし, Weは共振器中心周波数, QCは共振器 Qである. セシウム一次周波数標準器の研究の歴史は,周波数を


このため,(3
)式を最大にする周波数 Wrcは次式で表さ シフトさせる様々な物理的要因や工学的要因との戦いの
れる. 歴史といっても良い.その時代の学問や技術レベルが向
上すると,その時代の確度を制限した要因が一つ克服さ
2T2 o
f
ω町 一 = p 中 2.-r 」:;_ 2 」~- bab(wc ω。)……(2
ω。 一 1) れ確度が向上するが,その先にまた次の確度を制限する
要因が見えてくる.一次周波数標準器の研究はその繰り
単一速度の原子に対しては,上式は簡単になり 返しであり,あたかもシジフォスの神話のように無意味
で困難な行為の繰り返しのように見えるかもしれないが,
8 Q2
ω町 τc
ω。 = 子 手b o伽 (
we一ω)
。 ・
(22
) その時代の確度制限要因を克服することは物理学や工学
に新たな発見を一つ加えたり,その時代の知見をより強
一例として, QC= 5
00, Qp= 1×l
Q, We一ω。
s = lMHz 固にしたりすることができる可能性を秘めた研究分野で
とし, bは Iを最大にする最適値から ldBだけ小さい場 ある.
合の周波数シフトは 9×1 0
-1
6になる.原子泉型標準器で 現在,セシウム一次周波数標準器の研究は従来のエネ
は仏= 1×1
01
0程度と非常に高いため,共振器プリング ルギー選別に選別磁石を使う方式から光ポンピング型や
シフトは無視できる. 原子泉型に研究対象がシフトし,確度もー桁以上改善さ
共振器プリング・シフトをラビペデストラルのシフト れ10
-1
5台が報告されるようになっている.それだけに,
から評価する方法が提案されており,この方法により 個々の周波数シフト要因を確実に克服していかなければ
NIST-7では共振器プリング・シフトとして l×1
0一5
1以 このような高確度を達成することは難しい時代になって
下が得られている(23). いる.ここでは,今後の研究のためにセシウム一次周波
3.5 隣接遷移シフト(9.24) 数標準器の基本原理と主要な周波数シフト要因について
2
.1で述べたように Cs標準器ではクロック遷移を含 整理し解説した.
め全部で 7本の /::,.mp=0の遷移があり,これらの遷移
参考文献
線の高さはクロック選移線の高さと同程度である.これ
らの余分な遷移のラビペデストラル,特に(3 ,
1) 時 (
1) 国際度量衡局編,計量研究所・日本計量協会訳,
(
4,1
) と( 3
,-1
)~ (
4,-
1) 選移のラビペデストラルは 「国際単位系」, p
p.4
8・4
9および、p
p.7
0”7
2,日本規格協
全て(3
,0)骨(4
,0)遷移の中央部まで延びている.換 会発行.
言すれば,クロック遷移線のパックグラウンドにはこれ (
2
) ITU-RRecommendationT F.686,ITU-RRecom-
らの隣接選移線のラビペデストラルの影響が含まれてい mendat
ions1 994TFs er
iesVolumep p.1
-7.
ることになる.これらの隣接選移が対称でない場合には, (
3
) J. Sherwood, [Link]
,R . McCrackenandP.
周波数に依存するパックグラウンド成分が付加されるこ Kusch,
“HighFrequencyLinesi ntheHFSS pec
-
とになり,クロック遷移のスペクトル線の形状が歪み, trumo fCesiumぺB ul
[Link]. PhysS oc
.2 7pp
.43
,
Iが最大になる周波数は ω。からシフトすることになる. 19
52.
このシフトを小さくするためには,隣接選移の対称性 (
4
) L.E ssenandJ .[Link]“
,AnAtomicStan-
を良くすること,隣接遷移をクロック遷移から十分離す dardo f Frequency and Time I nte
rvalぺN ature,
ことなどが必要である.実際,光ポンピング標準器以前 176
,p p.28
0,1 95
5.
のエネルギー選別に選別磁石を使用する方式では隣接遷 (
5
) A . G . M ungall, H . Daams, and J . S .
移の対称性が十分でなく,周波数確度を制限する要因の Boulanger,
“ Design, Construction, and Perform-
一つであったが,光ポンピング方式では隣接選移の対称 anceo ftheNRCCsVIPrimaryCesiumC lock,
s”
性が大きく改善された.また隣接遷移をクロック選移か Metrol
ogia,v o
l.17
,p p.123-1
45,1 9
81.
ら離すために通常の光ポンピング標準器では C磁場を (
6
) K . N a
kagiri, M. S hibuki, H . Okazawa, J .
6μT程度に設定して運用しており, NIST-7では隣接遷 Umezu, Y.O hta,andH .S aitoh,
“Studiesont he
移によるシフトは 0.
1×1
0-
15以下になっている (7). 一方, AccurateEvaluationoft heRRLPrimaryCesium
原子泉型標準器では相互作用時聞が長く,ラムゼー遷移 Beam Frequency Standard ,” IEEE Trans. on
線幅のみならず,ラビペデストラルの幅も狭いため,隣 Instrm
.andM eas.,IM ・36,N o.2,p p
.617-
619,June
接遷移によるシフトは十分小さく, C磁場を 0
.lμ
T程 198
7.
V
ol.
45N
os.1/2 March/
June 1
999 3
5

(
7
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085
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996
.
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.12
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23, Ap
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5. (
1
7)小竹昇,森川容雄,福田京也,「セシウム周波数標
(
8
) A
. C
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ron
, P
. Laurent
, G. Santarel
l
i, S. 準器用静磁場一様性の解析」,通信総研季,4
5,1
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G
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, [Link]
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森川 容雄
TakaoMORIKAWA
標準計測部
時間 ・周波数標準の研究に従事
E-mail
: Tak@c
rl
.go・j
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